【北アルプス】ダイヤモンドルート Part1 遥かなる稜線を歩く4日間 2021.09.13-16
〈メンバー〉
1名
〈使用交通機関〉
新宿-扇沢 高速バス
松本-新宿 高速バス
〈天気〉
1日目 曇り
2日目 曇り/晴れ
3日目 晴れ
4日目 晴れ/曇り-雨
〈コース〉
1日目
室堂ターミナル(09:00)〜浄土山北峰(10:30)〜獅子岳(12:40)〜ザラ峠(13:30)〜五色ヶ原テント場(14:30)
2日目
五色ヶ原山荘(03:50)〜越中沢岳(06:15)〜スゴ乗越小屋(09:10)〜間山(10:30)〜北薬師岳(12:00)〜薬師岳(13:30)〜薬師峠(16:00)
3日目
薬師峠(06:00)-薬師沢小屋(09:00)〜アラスカ庭園(11:30)-雲ノ平山荘(12:30)
4日目
雲ノ平山荘(06:00)〜祖父岳(07:45)〜三俣小屋(09:00)〜双六小屋(11:00)〜新穂高ロープウェイ(16:10)
2021.09.13-16
9月中旬大型の休暇を手に入れたため、長い距離を歩きたくなりまして色々思いを巡らし、行ってみたいロングコースに行ってきました。
候補はたくさんあり
①ダイヤモンドルート 室堂-上高地
②ぐんま県境稜線トレイル
③奄美トレイル
この3つに絞りましたが②は実家から近く日程を詰めればいつでも行ける三はコロナウイルスのために離島のハイキングはしずらいと言った理由から憧れのダイヤモンドルートを歩くことに決めました。
ここで問題が一つ発生しました。予定の最後の2日間に台風が本州を直撃するということ。
台風の進行が遅ければ上高地まで行くことができますが、早いと折立もしくは、新穂高温泉までしか行けなくなるかもしれないと、行程中もいろいろ考えながら歩くことになりました。
さて行く場所と日程が決まれば次は装備です。
なるべく軽く行くか。はたまた色々背負って多少重くとも万全を期して行くか。
北アルプスの人気エリアともあって山小屋は結構ありますので荷物はなるべく切り詰めていくことにしました。
装備は
ザック-40リットル
着替え-行動着1式、テント着1式の2セット
食事-袋麺5食と行動食
テント-ステラリッジ2
ざっとこんな感じです。
40リットルのザックに荷物を詰め込みいざ高速バスで深夜の新宿を発ちます。
なかなか寝付けず定期的に起きながら室堂に到着。半ズボンとロンT1枚でバスを降りると肌寒く、すぐ上着を着込みアルペンルートのバスを1時間ほど待ち室堂へと向かいます。
朝1の便で最速で室堂に着きましたがターミナルにはもう人がたくさん。
ストレッチを入念にして、どんより雲の中いざスタート。
最初の分岐でほとんどの人が真っ直ぐ一ノ越へ向かう中、左へまずは浄土山に向かいます。
前日の仕事、夜行バスでの睡眠不足、緊張、色々な理由からでしょう。とにかく足が重い。
後ろから楽しそうにおしゃべりしながら歩いてくるスニーカーに肩かけバックのおばぁちゃんたちに抜かされる始末、、、
「あれ、五色ヶ原までホントに行けるのか、、」めちゃくちゃ不安になりながら進みます。
保険で持ってきたストックを開始1時間もしないうちに出します。
ひぃひぃ言いながら浄土山に到着。
山頂には予想以上に人がいましたが、多くの人たちがおそらくここまで。
奥には雄山がそびえ立っています。真砂岳まで伸びる稜線が気持ちよさそう。
ふんだんに休憩を取ってこちらも気持ちの良い稜線へ向けて出発です。
龍王だけを過ぎると五色ヶ原がしっかりと目に入ってきます。
ゴールは見えるが
あれ?ここと五色ヶ原の間に深い谷があるな?
まぁ気にしない気にしない。今から気にしてたら気疲れするだけですからね。
目の前に現れたら死っからリアクションをとりましょう笑
んーーー最高っ!
拡大っ!!!!!
テントが1張見えますね。
うっすらと見えれ五色ヶ原まで見える稜線の登山道がこれまたテンションを上げてくれます。
それにしても浄土山と五色ヶ原の間にある3つの山の名前は中2心がくすぐられますね。
竜王、獅子、餓鬼て、、、カックイイ!!
そしてここからが核心部。気張っていきましょう。
五色ヶ原到着!!!
え?
核心部、ザラ峠のリポートは?
はい。本当にへばって写真どころじゃありませんでした。
なので写真なしでのリポートを。
龍王岳から餓鬼岳までは基本アップダウンです。
間にある鬼岳は壁のように反りたっていますが幸いトラバースできる登山道があるのでご安心を。僕はこのトラバースに心を撫で下ろしました。
これを登るのは無理、、、
餓鬼岳を後にするとザラ峠まで一気に下ります。さっきまで下に見えて五色ヶ原もザラ峠まで降りると、もう遥か上に感じます。
もうこの時点で足は棒っきれ同然。体調込みで言えば4日間で一番しんどかったです。
五色ヶ原で1泊して室堂に帰るのもアリと思いながらも、このザラ峠またくるのは嫌だなと不安を払拭し最後の登りに取り掛かります。
気合だけで登ると。ついに木道が現れしばらく歩くと小屋とテントに向かう分岐が現れテント場に向かいます。テント場の申し込みは設営後でいいと看板があり大感謝です。
そして、、、、
ついに、、、、
今日の行程コンプリート!
だぁぁぁぁ
とりあえずテントをソッコーで立て雄大な景色を目の前にして休憩。
2時間ほど北アルプスの山々をぼーっと眺めながら休憩し、小屋にテント場の申し込みを市に重い腰を上げます。
小屋まで木道を歩いていきますが、これが意外と長い上に登る、、
しっかり休んだ後でよかったと思いながら小屋へと向かいます。
申し込みを済ませ小屋の目の前にあるベンチでまたひと休憩。
これがまた景色がよろしいったらありゃしない。
はい、ドンっ!
でしょ。最高でしょ。
もうね感無量です。ホント。
テントに戻りささっと夕飯を済ませ明日の準備にかかります。
明日は12時間半のコース。2日目にして正念場です。
アラームを3:30 に設定し、まだ外は明るいですが就寝とします。
おやすみなさい。
〈感想〉
初日の感想は一言で言えば本当にしんどかった。
原因は寝不足だと思いますが、結果的に言うと全行程でこの日が一番きつかったですね
ただ五色ヶ原に着いた時には全ての疲れやらなんやらが全て吹っ飛びました。
登山仲間がこぞって五色ヶ原を絶賛する理由がわかりました。
浄土山を過ぎてから一気に静寂に包まれるのも最高の一言でしたね。
次のページは全行程中で登って下ってと1番歩く日です。
さて僕の2日目はどうなるのでしょう。
そして台風はどこまで迫ってきているのか。
乞うご期待!!
〈インスタ〉
【日本百名山】苗場山 池塘を目指して 祓川コース 2022.08.29
〈メンバー〉
1名
〈使用交通機関〉
マイカー
〈天気〉
晴れ
〈コース〉
秡川コース
祓川登山口(08:15)〜和田小屋(08:30)〜下ノ芝(09:15)〜小松原分岐(10:00)〜鞍部(10:30)〜苗場山山頂(11:00)〜苗場山神社(11:30)〜山頂広場(12:45)〜祓川登山口(14:45)
2022.08.29
8月の28,29日で友人と北岳に登る予定でしたが、雨予報のため中止になってしまい、この日唯一天気の良いエリアが新潟方面でしたのでソロでアクセスの良い苗場山へ行くことに。
登山を始めて1、2年くらいの時に1度苗場山には登ったことがありましたが、その時は山頂でゆっくりできなかったので、今日は池塘を満喫しまくるのが目当てですね。
4:30に家を出発、5時過ぎると明るくなり空模様がどん曇りなのが分かり肩を落としながら関越道を北上。やっぱりダメかと思いながら天気予報を信じ、関越トンネルを抜けると群馬とは打って変わって新潟は晴天模様。ありがとう神様。
高速を下り三俣まで行き山道に入る。ここの入り口が細い道でわかりずらかったので気をつけてください。僕は通り過ぎました、、、
8時過ぎに駐車場に到着。平日なのに駐車場にはもう既に10台以上車がありました。さすが人気な山だけあるなぁ。トイレを済ましいざ出発。トイレはもう山頂までありませんでしたのでお気をつけを。ここの少し上に歩いたところの和田小屋もトイレの貸し出しはしていませんでした。
駐車場を出発すると和田小屋までは舗装されたゲレンデの道をひたすら登ります。ここはホントに帰りの時とにかく長く感じました。
晴天の割に気温はそこまで高くなく乾いた風が気持ち良く、あれ今回そんなに汗かかないかもと、この時まではそんな思い違いをしていました。この後30分後には滝汗です。
舗装道が終わるとベンチがありそこで登山届けをカキカキ。ここからいよいよ本格的な登山の開始です。さぁ行くぞ!
和田小屋から下ノ芝まで樹林帯を進みますが、とにかく悪路が続く。連日の雨で基本的に小川みたいな登山道を登っていきます。ただ泥水ではなく川のように水が流れているためか、水は綺麗で足回りはほとんど汚れませんでした。午前中は、、、
登り始め1時間がむしゃらに登り続け下の芝に到着。休憩するには程よい広さでここで休憩を挟むのもいいかもしれませんね。眺望はありません、この先の中ノ芝は眺望が素晴らしいです。僕はここはスルーでいい気に中ノ芝まで。
樹林帯を抜け空が綺麗に見えてくる。景色が広がると疲れが吹っ飛ぶのは全人類一緒だと思っています。
中ノ芝に到着。景色も一気にここで広がり、気の済むまで休憩。関東の方は広大な雲に覆われていますね。新潟来てよかったーー
壮大な眺望を眺めながら木道をトコトコ歩いていきます。前半に比べるとだいぶ楽ちん。
そんなかんな歩いてるとあっという間に上ノ芝に到着。
この時点で汗だくだく。来てきたシャツが透けるくらいです、、、
さっき休憩したばかりなのにここでもひと休憩笑
分岐、股スリ岩を過ぎ神楽峰へと向かう道で思いがけない事態が発生しました、、、
それがこちら
笹藪が道に覆い被さっていました。何が問題?と思いになるでしょう。
そう私は半パン、、、
晴れに日帰りということで下の雨具は車に置いてきました、、これが間違いでしたね。
濡れるは、痒いは、痛いはで個人的には今回ここが1番の難所でした。
こんな感じで10分強笹藪と格闘しながら歩くと神楽峰に出ました。一安心です。
ここから鞍部までまぁまぁ降ります。
足に気が行き過ぎて鞍部まで写真なし、、、
そんな、かゆ痛い足をかきながら歩いていたら笹藪を踏み抜いて谷川に半身落としました。
右足はもう擦り傷だらけです、、、ホントお恥ずかしい話です。
今度からちゃんと下の雨具も持とう、、、、、
鞍部まで来たら、ここからは一気に上がるだけ
この手前に水場があります。がヤマップと少し位置がずれていたような気がしました。
そして最後の登りを上がりきると
もう最高。
これ以外言葉が出てきません。疲れや傷の痛みなどどっかいきました。
日本が誇るテーブルマウンテン!!
もう一回言っていいですか「最高」
一番広い広場に人がいっぱいいるのが見えたのでそちらはスルーして山頂へ。
一応山頂で記念写真をパシャっとしてから小屋を経由して苗場山神社へと向かいます。
神社で無事帰宅することができるようにとお願いし、龍ノ峰へ向かおうと思いましたが中止。
誰もいないこの場所でゆっくりすることにしました。
神社手前のデッキで昼食&休憩。
ほとんどの登山者が祓川ルートのようで山頂の奥のこちらまで来ないらしく、1時間くらいここでグダグダしていましたが、2,3人にしか会いませんでした。
気の済むまでこの苗場山山頂味わい、この場所を惜しみながら下山開始。
龍ノ峰は次回のお楽しみにして山頂に別れを告げ、一気に登って来た山道を下っていきます。
神楽峰に着く頃にはもうガスガスで眺望はゼロ。
タイミング良かったなぁ。
朝は川のような登山道も土が水を吸い、登山者に踏まれまくりドロドロの道に変わり果てていました。そして汚れることを嫌い岩と木を伝うように歩いていると、そりゃもちろん転ぶは転ぶ。2回ほど滑り転び諦め泥の中を帰りました。
最初からそうしとけという話です、、、
和田小屋まで降りてきて最後舗装道をとぼとぼ歩き、今回の歩行終了です。
ただこの舗装道こんなに急だった?と思うくらい最後歩くのがきつかったです。んで長いぃ!
〈感想〉
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回2回目の苗場山でしたが、もう3回目に行きたい!
そんな山です。僕の中では夏に日帰りで好天の時登りたい山No.1です。
新潟の南部に位置していて比較的都心からもアクセスしやすくおススメです。
電車でのアクセスだと越後湯沢駅からレンタカーになりますが、観光地ということもあり駅前に数店レンタカーできるところがあるとのことです。
コンビニは神立スキー場の手前にあるセブンイレブンが最後です。
一応みつまたから山道に入る手前に道の駅はあります。
ぜひ皆さん今年最後の夏登山、苗場山いかがでしょうか。
今回の苗場山でパシャパシャした写真をインスタのほうにもあげていますので、よろしければこちらも覗いてみてください。
〈Instagram〉
#1 櫛形山 霧の中で
#1 櫛形山
22時に駅前でと、LINEが鳴る。テレビを見ながら明日のパッキングをしているが、かれこれ30分は画面の奥しか見ていない。明日は2ヶ月ぶりの登山というのに一向に気が乗らない。それもそう、外は降り頻る雨、正に梅雨だ。
学生時代のサークルのイベントで登山にハマった。あれから今に至るまで色々な山にも行ったし、1週間くらいのテント泊登山や雪山、様々な形で登山をやってきた。数え切れぬほど日帰り登山も行った。が、今まで日帰りの時に天候が怪しかったら即中止にしていた。雨の中や眺望のない登山などクソくらえだ。だから今回も中止にしようと連絡をした。なのに今回もキムの押しに負けた。
キムは大学の同期でサークルで知り合った友人だ。自分ほど山にはハマらなかったが、年に4、5回は一緒に登山をしている。優男でいい奴で育ちも良いのだがどこか抜けていて、自分とは正反対だったが、とにかく気が合った。なぜかキムに何か頼まれると断れなくなる。そんな力を彼は秘めているのだ。
「明日は雨じゃないって、予報なら6時から曇りだよ」
電話越しなのにキムの憎めない笑顔が簡単に思い浮かぶ。
「6時まで雨でその後曇りで低山だろ、ガスで何も見えないぞ」
「いいからいいから明日は天気が悪くてもいい山なんだって」
いつもは自分が登山の計画を立てるのだが、今回はキムが張り切った様子で任せてほしいと言うので全投した。
「…分かったよ、じゃあ今晩迎えよろしくな、遅れんなよ」
ぶっきらぼうに言って後悔する。遅れんなよと言っておきながら多分もう駅まで間に合わない。果てしなく自分が嫌いになる。遅れると連絡を入れると部屋の前まで迎えにきてくれるというキムに今回はもう頭が上がらなそうだ。よしキムのためにも、今回は天気云々ではなく旅自体を楽しんでやろう。そう決め自宅の階段を降りる。
玄関を開けただけで顔に水がかかる勢いで雨は未だに降り続けている。ほんとに明日の朝には止むのかと思いながら玄関先に止まっているキムが親父さんから譲り受けた真っ赤なアクセラに乗り込む。
「よっしゃー、行くぞー」
というハイテンションに楽しむ覚悟を決める。
「ほないこか」
アクセラが山梨に向け発進する。
櫛形山聞いたことのない山だった。調べて見たところ甲府盆地にある200名山のひとつであるらしい。富士山や北岳が綺麗に見え6月にはアヤメを見るため多くの登山者が訪れるらしい。そんな眺望も多くの登山者もこの天気じゃ今回は望むことができそうにないが。
深夜1時、我々は今日の目的地「道の駅しらね」の駐車場にいた。
基本的にキムと山に行くときは前日夜に現地に乗り込み車中泊をしてから早朝登山口に向かう。朝集合遅刻しがちの我々にはこのスタイルが安心なのだ。
随分と雨足は弱まったが未だ降り止む様子はない。トイレとタバコをすまし目覚ましをかける、リクライニングシートをできるだけ倒しパーカーのフードを被り目を閉じ一息つく。車を叩く雨音が静寂な車内に響き渡る。
「3時間くらいは寝れるかな」
「起きて降ってたらもう少し寝てもいいんじゃない」
どうせ天気の悪い山なんだ早く出って行っても意味がないから寝ていたい。やはりこの天気を目の前にしていると、上げてきたモチベーションがついつい落ちてしまう。
「とりあえず起きたら考えるか」
「んーそれもいいけど、6:30には出たいなー」
何でだ、と思いながらも理由は聞かないことにした。
「おー、じゃあさっさと寝ますか」
「そうだね、じゃ、おやすみ」
数秒も経たないうちに隣からリズムよく寝息が聞こえてくる。はえーと思いながらも自分にも眠気が襲いかかってくる。ダッシュボードに足を乗せ快眠出来る姿勢を整えながら眠りへと落ちる。、雨と隣人の心地の良いリズムの音色を感じながら。
目が覚め、時間より先に天気を確認する。曇天の明け方だ。雨が止んでいる安堵と分厚い雲の憂慮が交差する。大分早く起きたな、時計を確認すると4:54。アラームより1時間も早く起きてしまった。隣人はまだ夢の中、少しの物音じゃ起きそうにもない。キムが起きないようにそっと車を出てバキバキになった体を目一杯に伸ばす。深く息を吸い一気に出す。着いた時は暗くて分からなかったが四方には山々が見える。天気が良ければもっと上の方まで見えるであろう立派な山々も真っ白なガスで覆われ中腹までしか見えない。携帯の地図アプリを見ながら櫛形山を探す。
ーー思ってた以上にデカイな
ーーこの天気であれを登るのか
ーーどこまで車で上がれるんだろ
そんな事を思いながら体を整える。上がらない気持ちとは裏腹に体のコンディションはどうやらいいらしい。喫煙所でタバコを一服しコーヒを啜りながらネットニュースを読みながら時間を潰す。顔を洗い、歯を磨き車に戻るとキムが目を覚ます。
「んーーおあよう、何時?」
こいつは天気より時間の方が気になるのか
「6:00前だな」
「アラームより先に起きれたかー、おっ雨上がってるじゃん、いいねー」
「見てみろよガスガスだぞ」
「いいんだよ、それで」
キムがニッと笑う。
近くのコンビニで朝飯を済ませ昼飯を調達し登山口に向かう。
途中まで軽快に進むアクセラも2車線の舗装道が終わり狭くガタガタな林道に入ると、その縦ににデカイ車体に四苦八苦する。
「マジ?」「こんな狭い?」「ほんと合ってる?」
ブツブツと独り言を言うキムを横目に窓の外の景色を眺める。初めは薄がかっていたきりも標高を上げるにつれどんどん濃くなる。林道が終わり切り立ったヘアピンカーブが連続する道に差し掛かる。ものすごく見晴らしがいい。のだろう普段なら。しかしフロントガラスの向こう側に広がるのはわずか数メートル先しか見えない完全真っ白な世界。
「まぁもうここまで来ると幻想的と言ってもいいな」
「そう!」
いきなり声を張られびっくりしてキムを見ると嬉しそうに続ける
「今日のテーマは『幻想的』です、ジブリのような世界を堪能下さい」
呆気に取られた
「雑誌で読んだんだけど櫛形山って地衣類とかの植物が相まって、霧の中歩くのも結構いいらしいよ、だから今回この梅雨の時期には丁度いいかなって、でも昼前くらいにはガスあっがちゃいそうだなー」
だから時間を気にしてたし、前日は雨が降ってて嬉しそうだったんだなと合点がいった。
「じゃあ今最高のコンディションってことか」
「ワクワクしてきたでしょ」
あれだけ低かったテンションが逆転する。さっきまで憂慮はどこへ高揚感が爆上がりだ。
「あんま車止まってないな」
登山口に着く。キムの言う通り駐車場には2、3台しか止まっていない。
「ま昨日あの天気じゃな」
「人も少なさそうだしラッキーだな」
車から降り準備を済ませストレッチが終わったらいよいよだ。登山道に入るといきなり対害獣用にゲートが設置してある。ゲートを潜ると山に入った感が増しワクワクが増す。ただまだ神秘的には程遠く、ただただガスってる森の中を歩いてる感覚だ。勾配がキツくなってくる。しんどさを誤魔化すように雑談を交えながらひたすら足を上げる。
30分くらい歩いただろう稜線に出た。なるほどこれが神秘的と言うやつか。蒸れた地面に地衣類が、背の低い植物が生い茂り、両側には新緑色の葉を生い茂らせた背の高い木々が綺麗に並んでいる。目の前には緑、白、茶色のコントラストが広がっている。
少し歩くとベンチがありそこだけ稜線に木々がなく切り開かれている。ここで休憩をとることにした。天気が良ければ眺望があるのだろう。我々の目前は真っ白の世界以外何もないが。只今はそんな眺望もどうでもよくなるぐらいこの白の世界に浸っていた。
「最高かよ」
「でしょ、でもここから先もすごいよー」
「来たことあんの」
あまりにも自信満々に言うものだからついつい聞いてしまった。
「ないよー雑誌とネットに書いてあったー」
あまりに、らしい答えに笑ってしまう。キムのこう抜けている部分が苦手という人もいたが自分はこう言うところに惹かれているのだ。
「じゃあネットの信憑性を確かめに行くか」
と腰を上げ再び歩き出す。
思ってた以上に簡単に山頂に着いてしまった。1時間もかからなかったであろう。特に物珍しい景色もなかったので標識だけ写真をとって山頂を後にした。
「この先もう一つ山があってそこの山頂でお昼でもどう」
「どんくらいで着くの?」
「んー分かんない、1時間もあれば着くでしょ」
「適当だなー、じゃそうするか」
プレゼンは上手いけどプランニングは下手だなと不安になる。全投はしたものも少しは調べておくんだったなと少しの後悔と共にキムの背中を追う。
山頂からしばらく歩くと少し景色が変わり始めたことに気づく。霧が一層濃くなり、木々の樹皮や枝に糸上に絡まる地衣の登場によって一層幻想的になる。不気味なくらい濃い霧の中わずか自分達の四方10メートルくらいに広がる緑の世界。正に神秘的な世界。この微妙な天候の日にしか出会えなかったであろう白と緑の世界にただただひたすら息を呑む。天気に拘っていた自分が嫌になる程そこには現実離れ世界が広がっていた。
「すごいな、ジブリ感って言うのかな、このもののけ感、すごいな」
目の前の光景に自分の語彙量が著しく低下し行った側から恥ずかしくなる。
「予想以上だよ、これは感動モノだね、ね、来てよかったでしょ」
「大感謝だよ、キムにも天気にも」
「いつも山連れて行ってもらってたからね、前回、槍で見た朝日のお返しかな」
何年か前に渋るキムを槍ヶ岳に引っ張って連れて行った時に見た山頂での景色を引き合いに出された。あの時のキムの中であの景色は衝撃だったのだろう、よくあの景色を自慢げに話すらしいが、今日から自分はこの景色を人に自慢するだろう。
「この木に絡まってるの何」
「わかんない、とろろ昆布じゃない」
「絶対違うだろ、なら食ってみろよ」
冗談で言ったのにキムは頭上に垂れ下がっている地衣を手に取り一噛みする。
「味はない」
真顔でこう答えるキムを見て感動が台無しになりそうだ。
もうひとつの山裸山の山頂で昼食をとり、周回コースをとって帰ることにした。山頂を出発して1時間ぅらい歩くとガスが上がってきた。ゴール付近には北岳を眺望できる展望台があるらしい運が良ければ北岳を見て帰れるかもしれない。今年のお盆すぎにキム夫婦と北岳に行く予定だ。
もしかしたら今回キムは天気がどっちに傾いてもうまく行くように自分を櫛形山に誘ったのかもしれない。恐るべしキムのプレゼン力。
【日本二百名山】櫛形山 梅雨のハイキング 周回コース 2022.05.22
〈メンバー〉
ひとり旅部 2名
〈使用交通機関〉
マイカー
駐車場:10〜15台
〈天気〉
曇り、濃霧
〈コース〉
櫛形山〜裸山周回コース
池の茶屋駐車場(8:00)〜櫛形山山頂(9:00)〜裸山(10:30)〜北岳展望デッキ(13:15)〜池の茶屋駐車場(13:45)
2022/5/22
梅雨に入り天気の読めないこの時期、友人の提案で櫛形山に行くことに。
プランニングとしては2つ。
1つ目は好天の場合、今年の盆過ぎに登る予定の北岳を見てテンションを上げる。
2つ目は悪天の場合、(悪天と言っても土砂降りや突風などのハイキングにはきつい天気ではなく、曇天やガスガスの場合)、霧に包まれる神秘的な櫛形山の木々植物を楽しもうと言うもの。
結果として2つ目のプランを取ることになりました。
前日は大雨、予報では当日は朝から昼過ぎにかけて曇り、夕方から晴れるということ。
前日23時蒲田駅に集合し山梨県の「道の駅しらね」で車中泊。翌日6時に起き池の茶屋駐車場に向かいます。
ここで注意してほしいのがGoogle Mapのナビがとにかく狭い道に誘導してくる。僕らはとにかく山道に入る前の富士川町の平林というところでウロウロして40分くらいロスをしました。山に行くまでがしんどかったぁ
ここじゃないよな、と感じたらその道は入らない方がいいですね。僕らはそういう道に入って行けるところまで行って結局通れずバックでその道を引き返すことになってしまったので。ナビが川沿いを指示したらその道にいうと大変なことになりますよ。軽自動車なら行けるかもしれませんがセダンやSUVは通れない。そして我々はセダン…
そんなかんだで登山口に到着。この時点で天気ガスガス、雨はパラパラ。
8:00、ゲートをくぐりスタート
早速急登が始まり30分ほどで尾根に出るこの時点で結構な汗の量が
全くと言っていいほど眺望などない
けど霧が濃くなり写真でも分かる様に神秘的な雰囲気が出てきました。
眺望ゼロの中どんどん登る。本来なら富士山が綺麗に見えるらしいですけど、
ここまでガスガスだと富士山などの方角にあるかすら分からない。
神秘的な尾根線を30分ほど歩くと山頂に到着!思ってた以上に近かった印象。
山頂に着くと山頂標識の前に倒木があり、これをベンチ代わりに休憩。他の登山者も全然おらず。静寂の大自然の中で飲むコーヒーはもう言葉いらずですね。
この辺りからサルオガセが増え、デカイ巨木も現れ見所も増えてくる。前日の雨が木々や苔、サルオガセから滴る様子もまた神秘的
山頂を発ち分岐に入る。霧がより一層濃くなり。今日1番の視界が不良。だがこれが幻想的であり神秘的
興奮してずっとパシャパシャ写真を撮ってました。
分岐から裸山まで歩きやすい登山道が続く倒木も増えてきてジブリのような世界が目の前に。
10:30裸山に到着。ここで昼食をとっているとガスが流れ太陽が覗き出し、北岳を見るチャンスタイム。ここから30分ほど待機するも北岳は見えずに…
結局山頂には1時間ほどの滞在し北岳を諦めアヤメ平まで降っていく。
アヤメ平につくと完全にガスは上がっていて曇天の中のハイキングに。
ここからひたすら登山口近くにある北岳展望デッキに向かうため下りに下っていきます。
2時間程すると展望デッキに到着。残念ながら北岳を見ることはできませんでした。
今回スタートから最後まで晴天になることはなく、ずっと曇りの中のハイキングでしたが
この天気ならではの神秘的な景色を見ることができました。
大満足です。
今後、梅雨の時期の登山なら櫛形山を僕は猛プッシュすることでしょう。
是非みなさんも濃霧の櫛形山へ行って見てはどうでしょうか。
↓今回この旅をエッセイに。よかったら覗いてください
Blog開設しました。
こんにちわ、あけびです。
主に登山とが旅が趣味のやさぐれです。
そんな僕がブログを開設しました。
理由は1つ。
先月、人生初の海外ひとり旅をしてきました。
(良くも悪くも色々と経験を積んだなぁ〜)
ホントに行ってきてよかったです。
が、しかし
出発前から現地においても
もう分からないことがたくさん・・・
ガイドブックに載っている情報にも限りはある。
そんな時ホントに役に立ったのが様々な方々のブログです。
僕の分からないことや、不安なことに対して事細かに情報を載せてくれていた皆様ホントに感謝です。
国内の観光地や山などはたくさん情報があるので今までブログを開設しようなんて考えたこともありませんでしたが、状況、人数、コース、日程で全く変わってくる登山は情報が命です。
山に行くからこそ見えてくる不安や心配事もあると思います。
そんなこともあって、僕のような困っている人が一人でもいるのならと思い、ブログ開設しました。
拙い情報しか提供できませんが・・・
山ブログ書いていきたいと思います。
そして完全趣味で山行記録を小説風にも綴るので良ければ覗いてください。
どうぞ、よろしくお願いします。